――幕間――

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「……どうでしょうか? いずれも一度お会いしただけの方から聞いたお話ですので、信憑性(しんぴょうせい)までは保証できませんが、お楽しみいただける内容でしたか?」  二つの怪談を語り終え、羽切は小さく吐息をつくように肩の力を抜きながら、俺たちを見て微笑んだ。  峠を舞台にした、二つの異なる怪談。  確かに、自分が当事者となれば最悪だと思える内容ではあった。  昔暇潰しに読んだ怪談本にも、いくつか峠で起きた怪異をテーマにした話が掲載されていたことを何となく思いだし、日本各地――世界規模でもだろうけれど――至る所で何かしらの噂や伝説が転がっているのも頷けるなと、そんな感想が頭に浮かぶ。 「テケテケとか、かなり有名な存在だけどさ、あれって幽霊なのかな? それとも妖怪? 初めて聞いたときからずっと疑問だったんだよね」  隙間のような沈黙の時間に、戸波が声を詰め込んでくる。 「テケテケ……やっぱ幽霊じゃねぇのか。踏切事故で身体が真っ二つになった奴が、自分の下半身探して夜の線路這い回ってるとか、色々なシチュエーションで語られてるよな」
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