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目標補足
数多の戦場で敵兵を必中で仕留めてきたオレが望むモノは何か。
これ以上のモノは、正直自分でもよく分からなくなっている。
仕事を終えた時に飲む酒、それを超える何か。
持ち家がないオレに家族という温かいモノは無縁だ。根無し草のオレにはギャンブル、女、タバコ。
即時的に心を満たせるモノが似合いだ。
故にすぐ思いつく限りのことは行った。
しかしというかやはり、それでは心を満たせることは出来ない。
心に空虚な隙間が空いたまま、オレは淡々と依頼をこなし続けた。
最新の装備を整え戦場へ向かう。
むしろ、自分の身を守る装備品を見繕っている時の方が気持ちは高揚し、生きている実感が沸く。
やはりオレに相応しい至高の報酬は他でもない、この終わることの無い戦場かもしれないな。
連絡のあったポイントへ到着すると、オレは素早く準備を整える。
周囲を素早く確認し、ターゲットが通る道の予測し、再び相棒を構える。
ジッと待ち続けると、程なくしてターゲットの姿を捉えた。
周囲を警戒するように、少しずつ慎重に歩みを進めている
照準越しに見えるその姿から、緊張しているのがオレにも分かった。
当然だ。
ここは奪うか奪われるかの二者択一の戦場。
誰もが皆、奪う側となる。
もう少しだ。
あと数歩で狙撃範囲へと入る。
奪う側に回っている者を一瞬で奪われた側へ撃ち落とす、慈悲なき一発。
指先に力を込める。
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