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俺は美雪と一緒に班長が待つ、病院の中へと入っていく。病院の入り口のロビーに視線を送る。
「班長!」
長椅子の所に倒れ込んでいる班長を見つける。
俺は美雪と一緒に班長の所に駆け寄り、班長を解放する。
「班長。しっかりして下さい」
美雪が大きな声で班長を揺する。
俺は振り返り、受付の方を見る。
その場を走り去った一人の看護師。
まさか!
「美雪。班長を頼む。俺は、今、受付からいなくなった怪しい看護師を追う」
美雪は一瞬、俺の名前を叫んだような気がしたが、何も気にせず受付の左側の廊下を一気にダッシュをする。
「待て!」
目の前を走る看護師に大声で制止するよう叫ぶ。
立ち止まる看護師。
「ゆっくりと振り向け」
俺は息を切らせながら銃を構え、立ち止まった看護師に命令をする。
看護師はゆっくりと振り向く。
「なっ、なんでしようか……」
看護師は怯えた表情で、震えながら必死に俺に話しかけてくるだけだった。
成美ではなかった。
呆気にとられ、銃を下ろす。
「すいませんでした……」
こんな言葉しか出てこない。
向きを変え、班長の所に戻ろうとした時、左側に廊下がある事に気がつく。
視線を向けると、ストレッチャーを押してくる看護師がいた。
看護師は成美ではないが、ストレッチャーの上で寝ている人間は、白いシーツに覆われていて誰だか分からない。
一気に駆け寄り、看護師を突き飛ばし、銃を構え、白いシーツを捲りあげる!
そんな……。
ストレッチャーの上には誰もいなかった……。
何をやっているんだ俺は……。
落ちつけ……。
さっき、突き飛ばした看護師に謝らなくては……。
銃を下ろし、頭を下げながら、振り向く……。
「失礼極まりないよね~。勇樹く~ん」
やたらと明るい中に性悪な響きを含んだ声質に驚き頭を上げる。
目の前には白衣を着た成美が、銃を構えて笑みを浮かべていた。
銃声が響くと同時に、顔面に途轍もない衝撃を受け、全てが弾け飛び、自分を認識する力の全てを失った……。
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