作業に励む者

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作業に励む者

   二人の刑事の目の悪さには、笑いが止まらなかった。どうでもいい物にばかり神経を集中させて、肝心な物を見落としていたよね。 笑いを堪えるのに必死だったよ。  君達の直ぐそばにいたのに気がつかない。殺気くらい消して、肩の力を抜かないと、相手の思う壺だよね~。  今、私の目の前には四人の刑事の死体がある。  泉ちゃんと勇樹くんのお二人については、顔面を吹き飛ばしちゃったからな~。  無くなってしまった物は仕方ないか。  私は早速、作業に取り掛かる準備をする。  四人の死体を出来る限り細かく切り刻みたいんだよね~。  肉切り大包丁、ナイフ、電動チェーンソーなど準備した物をじっくりと眺める。金属的な鈍い輝きが堪らない。  最初はこれを使おうかな。  電動チェーンソーのスイッチを入れる。金属の回転音のけたたましさに、心が躍動し笑みがこぼれる。 「行くよ~。まずは両脚からだね~」  金属が擦れ合うような高い音の響きに、思わず話し掛けちゃった。  死体の脚の付け根に、チェーンソーの歯を当てる。飛び散る、赤黒い血と細かい赤い皮膚の破片。  柔らかい肉を一気に切り裂き、硬い骨の所に差し掛かる。  金属と硬い物が擦れ合い、チェーンソーの刃が少しずつ骨を削りながら喰い込んでいき、両手に機械の振動と硬い物同士がぶつかり合う確かな手応えに心が弾ける。  チェーンソーの刃が競り勝ち、何か重量のある物が落ちた時の振動が両手に伝わり、脚が完全に身体から離れた。  両腕、首も、電動チェーンソーで切り離す。金属が肉を切り裂き、骨を砕きながら切断していく過程の音、感覚、振動が心地良すぎる。  細かい血飛沫が飛び散り、細かくて赤い皮膚の破片が埃のように飛び交い、舞い散る血飛沫の中を巧みに泳ぎ、辺り一面は赤い霧雨が降っているような状態になった。  湿った赤い粉末のような物が、倉庫の中に満ち溢れ、小さい照明に照らされ、幻想的な世界感を創り上げて行く。  そんな景色の中に酔いしれる中、四体の死体の脚、腕、頭の切断は終了した。  肉切り大包丁とナイフを使い、腕と脚から手と足を切り離す。刃者達を関節の部分にグリグリと喰い込ませ、手と腕を繋いでいた物達を切断していく度に、手に感じる何とも言えない充実に満ちた素敵な震え。  手が腕から離れた時、赤いドロリとした血が、ゆっくりと広がりながら床に染みていく。  足も同様に切断する。  手と足の切断も終わり、ナイフで胸の中央を縦に切り裂き、皮膚を両側に広げる。  メキメキと皮膚が肋骨から離れて行く音に笑みを浮かべ、手に鑿とハンマーを持つ。  鑿を肋骨に当て、ハンマーで力を調整しながら打ち、肋骨を丁寧に砕いていく。  肋骨を外し、心臓を繋いでいる邪魔な血管を全て切断し、心臓を引っ張り出す。  心臓を握る時のぐにゃぐにゃとした中途半端な弾力性が癖になって、何度も握って笑みを浮かべてしまう。  今度は額にナイフを当て、頭皮を頭蓋骨からメリメリと剥がしていく。ナイフを使って、頭皮を丁寧に剥がし、頭蓋骨が露わになる。  頭蓋骨に鑿を当て、ハンマーで叩き、頭蓋骨を少しずつ砕いていくと、頭蓋骨はぱっくりと綺麗に割れた。 脳を丁寧に取り出す。  両手の中で、プルプルとプリンのように揺れる脳を、静かにゆっくりとラップで包み、冷凍庫の中に入れて、他の切断した物と一緒に保管をする。  後は細かい部分で、目玉をくり抜き、耳を切り離し、男は性器を切断して、一旦、冷凍庫に保管する。 最も脳、目玉と耳は二体の死体からしか取れなかったけどね~。 「血も保管しなきゃ……」  私は出来るだけ血もビニール袋に溜め、冷凍庫で保管した。  残りカスは動物の餌にしてしまえば良いよね。  残しておく価値なんてないから……。
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