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挑み続ける者
私は成美の件で四名の仲間を失った。警察の方では行方不明扱いになっているが、成美に殺されたことに間違いない。成美が四人の死体を隠している理由は分からない……。
私は今回の件で、警察を去ることになった。成美を追い込むどころか、逆に追い込まれ、仲間を失ってしまった責任は大きすぎる。
言い訳はしない。
全て、私の責任だ!
だから、成美を追い続ける。
決して諦めない。
だが、今の私には警察と言う後ろ盾がない……。
銃なしで成美に勝てるのだろうか……。
いや、勝てなくて良い。引き分けに持ちこめれば、それで十分だ。
とにかく、成美を追い詰める。それが、成美に殺された四人の仲間に報いる唯一の手段だ。
私はもう一度、成美に関する資料を見直す。成美の目撃情報に神経を集中させる。主に都内の街中に集中しているが、情報量は少ない。
美人さんでスタイルも良いから目立つと思うけど……。
あれだけの事をやってのけて、この情報量の少なさは……。
皆、自分が何時狙われるか分からない、と言う危機感はないのだろうか。
いや、違うな……。
あのルックスとスタイルのお陰で、誰も怪しい人とは思わないのだろう。あの容姿が良い隠れ蓑となってしまっているのだ。
成美のターゲットが、社会的弱者ではないところにあるのかもしれない。ターゲットは全て大人なのだ。しかも、警察官ですら平気で殺害している。
弱い者ばかりを狙っているシリアルキラーとは格が違うのだ。
危険な状況ではあるが、多くの人々が成美に対して、歪んだ形のヒロイン像を作り上げてしまっているのかもしれない。
警察も、皆から尊敬されている存在ではない。
最近では内部での不祥事も多く、冤罪、犯人の逃亡を許すと言った、負のイメージを連想させる事柄が後を絶たない。
むしろ、嫌われ者だ。
警察に対する悪意に満ちた視線を、一般の人から感じる事も多々ある。
成美は世間の間では、闇に生きるヒロインとしての地位を築いているのかもしれない。
誰もヒロインを通報しようとは思わない……。
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