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追う者
私は美織 灯(みおり あかり)職業は刑事。今回、私を含め五人の刑事で班を編成し、成美 桜花とクレイジージョーを追っている。
いや、追っているのではない。追い詰めて、殺すことを目的としている。
メンバーは、勇樹 晶(ゆうき あきら)、美雪 茉莉(みゆき まり)、奈良都 弘樹(ならと ひろき)、泉 由良(いずみ ゆら)の四名だ。
男性二名、女性三名の班となる。
私を含めて全員、職務上とは言え、人を殺した経験がある人達だ。
しかも、人を殺した事によって、背負った重荷を抱えながら、多くの困難を乗り越えてきた連中だ。
あの二人が今まで相手にしてきた連中とは違う。
夏海と冬真が駄目だった訳ではない。あの二人は優秀な刑事だった。
ただ、一線を越えた経験をしていなかったが為に、あいつ等の闇に打ち勝つことが出来なかった。
それだけのことだ。
「班長。奈良都と泉から、クレイジージョーを抹殺したとの連絡が入りました。どうします?このまま成美を追わせますか」
勇樹が淡々と私に報告をしてくる。
「そうね。あの二人は潜伏先を見つけて、追い詰めるのが得意だからね。このまま成美を追ってもらいましょう」
あの二人は日常に溶け込むことに、やたらと優れている。
「分かりました。そう伝えます」
「班長。大丈夫ですか。相手は成美 桜花ですよ。全員で挑んだ方が良いと思いますが」
美雪が怪訝な表情を浮かべ、訪ねてくる。
「全員で動けば、成美に察知され、騒ぎになりかねない。警察が暗殺集団を作った事が世間に知れ渡ったら、偉い事になるわよ」
「そうですね。成美ならこちらの動きを察知する可能性がありますからね。その時は騒ぎを起こすくらいやりかねないですよね」
勇樹が私の意見に同意をしてきた。
「成美はクレイジージョーのようにはいかない。あの二人には無理をするなと伝えておいて。最後の詰めは五人全員でやりましよう。成美はその辺のシリアルキラーとは格が違うわ」
「了解しました」
勇樹と美雪の声が揃った。
十一人の人間を殺害し、内刑事が四人。前代未聞のシリアルキラーだ。成美をこれ以上、野放しにはしない。
今回で必ず仕留める!
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