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導かれし者
シリアルキラー達の特徴に、本当に殺したい人間を殺していないと言う話を良く聞く。もしそのルールが成美にも当て嵌まるとしたら……。
マネージャーの野地に接触をする必要があるのではないか……。
成美を狂わせる要因となった女……。
是非、会ってみたい。
我々は野地の行方を追った。野地の精神状態は安定することなく、精神病院を転々としている。
とにかく、野地が入院した病院で、どんな様子だったか、お見舞いに来た人はいたのか、どのような人物だったのかなど、地道な調査を続けて行く。
どこの病院でも精神の錯乱状態が酷く、何かにつけては騒ぎ続け、平穏に過ごす時間が皆無と言ったような状況だったとのこと。お見舞いについては、殆どなかったとのことだった。ただ、病院によっては、女性が一人来た事があったとの情報があった。
まさか、成美……。
ありえないか……。
Aによるとかなり怨んでいただろうと言っていた……。
我々は野地が入院した精神病院を分担して調査をしている。
私は野地が入院した記録の中の最後の精神病院の前に立つ。小さい規模の病院で入院患者も少ない。名前も余り知られていないようだ。
病院の中へと入っていく。白で統一された、微妙に眩しい空間が広がる中、受付に事情を話した所、担当医に会わせてくれるとのことになった。
ここに、野地が入院していたのだ。私は、何かの突破口が開けたような感じがした。
担当医の話によると、安定している時間が少ないため、面会は難しいとのことだった。常に何かに怯えているような感じで、酷い時は大声で喚き、暴れ続けてしまうのとのこと。
何に怯えているのか訪ねてみた。
特定は出来ないが、時折、成美と言う女性の名前を叫んでいると言っていた。
また、体中に刃物で切り刻まれた傷跡が残っており、精神が崩壊する前にかなり酷い目に遭ったことが考えられるとのこと。
担当医に再度、面会を望んだが、叶わなかった。
精神状態が安定していない状態での面会は、危険を伴うので無理と、跳ね除けられてしまう一方だった。
野地に関して、これ以上の調査は無理だろう。私は一人、病院のロビーで、勇樹と美雪を待つことにした。
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