魔法使い見習いのシェル

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魔法使い見習いのシェル

 私はシェル。シルヴァリアフィールドという世界で、いずれは王国一番の魔法使いとなる予定の天才美少女だ。  ――だが今はしがない魔法使い見習いの一人に過ぎず、ホワイティ王国で二つ年上の姉のサーシャと一緒に、冒険者ギルドの下請けをしながら魔法の勉強をしている。 「さて……今日も一日頑張りますか」  自宅の鏡の前で私は肩にかかるサラサラの金髪をリボンで結んで、ギルドへ出かける支度をしていた。  私の暮らしている国は元々大きな一つの国だったが、十五年前に国王は領土を三つに分割して三人の息子に王位を譲っただけでなく、なんと「それぞれの好きなことで国を治めてみせよ」と指示した。  前代未聞の政策に最初は大騒ぎになったが、息子達はそれぞれの国を建国して創意工夫して統治している。   私が生活しているホワイティ王国は次男であるホワイティの統治する国で、教育を重視する彼が学問を盛んにした結果、私のように魔法使いや学者として大成したいと願う若者が多く集まった。  さらに彼はとても動物好きで、野生生物の保護はもちろん、魔物の生息域の調査や保護などにも力を入れていて、彼の名を冠したホワイティ動物園はとても良い観光スポットになっている。 「まぁその代わり、魔物がらみのトラブルも多いんですけどね……」  それを解決するのが私とサーシャの主な仕事だ。  私は真っ赤なローブを羽織り、ベルトに皮製のポーチを装着した。ポーション類は重たいから置いて行こう。よし、これで準備万端。
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