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「【サテライトビット】」
杖の石突で床を叩きつつ、詠唱を終えた魔法の名前を呼ぶ。
すると杖の上に直径二十センチほどの黄色い魔法陣が現れ、その中央から八つの小さな雷球が飛び出す。
飛び出した雷球はそれぞれ独立してヴラドの頭に向かって飛んでいき、彼の顔の周りを高速で周回し始めた。
【ーーーーーー!】
目の前をぐるぐると回る八つの球に、煩わしそうに唸るヴラドだったがそのうちの一つが彼の目の前で強烈なスパークを起こして爆発すると不快そうに咆哮を上げる。
そのスパークを皮切りに残りの球も立て続けに爆発し、爆音と閃光にヴラドが僅かばかり怯んだ隙にリオノールが聖針を構えて彼の腹に向かって駆け込んだ。
「やぁぁぁぁっ!」
ヴラドの直下、クロスレンジに踏み込んだリオノールが右手に持った聖針を突き出す。
しかし魔法による怯みから早々に立ち直ったヴラドは左の竜腕を薙ぎ払い、リオノールとその一撃をガードしたグレイヴとチェリオを吹き飛ばした。
「【エア・ストライク】」
ムヒが掛けたバフが十分機能していたのと、二人の防御がしっかりと攻撃を受け止めていたことで吹っ飛んだ距離にしては三人のダメージ量は少なかった。
ムヒに任せても大丈夫だろうと判断した俺は詠唱を破棄して風属性魔法を強めに発動。
リオノールを食い殺そうと頭を伸ばすヴラドの顔面を風のハンマーで横殴りにし、その軌道を逸らした。
「ダメージにはほぼならないけど、物理的な干渉は出来そうですね」
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