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ヘシアンやヴラドの胴体のような大質量なものとなると流石に厳しいが、長い首で繋がった頭程度ならオーラの上から殴っても吹っ飛ばすくらいはできるようだ。
もちろんダメージ的には一ドット程度にしかならず、あまりにも効率は悪いが。
【ーーーーー!!】
俺のHPバーの下にターゲットアイコンが現れ、ヴラドが怒りのこもった眼をこちらに向ける。
僅かに開いた顎の内側にはちろちろと紅い炎が漏れ出しており、首を僅かに後傾させる。わかりやすいブレスの予備動作だ。
「ライ! ブレスだ!」
「分かってます!ギミック解除に集中してください!」
ブレスのターゲットにされた俺を庇おうとするレイン達を押し留め、遠ざける。
すると次の瞬間、ヴラドの顎から巨大な火球が射出された。
「【サイクロン】」
ブレスが放たれた瞬間、俺は短い詠唱を済ませた風魔法を発動。
俺を中心とした足下に緑色の光を放ちつつ駆動する魔法陣が現れ、そこから強烈な風が吹き上がり、渦を巻く。
俺を中心として出現した竜巻は足下の血液までも巻き上げながら巨大化し、迫る火球と真っ向から衝突した。
「ウッソだろ……!」
その言葉は誰のものか。
ヴラドの火球すら巻き込み、その火勢の尽くを抑え込んで消滅した竜巻の中から無傷の俺が姿を現すと、どこからかそんな声が聞こえてきた。
【ーーーーーーーー!!?】
どうやらレイン達の方も今の攻防の隙に無事ヴラドに聖針を突き立てたようで、耳をつんざく叫び声と共に竜の巨体を包み込む黒いオーラが霧散する。
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