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果たしてグレイヴの狙いは的中し、ヴラドが彼を押し潰さんと右前足を高く持ち上げる。
対するグレイヴは剣を掲げて防御姿勢を取るが、そもそも正面から受け切ることなどできないことを彼はわかっているだろう。
リオノールが最後まで動きやすいようにギリギリまで引き付ける心積もりらしい。
「……っ! 今だァ!」
ヴラドが持ち上げた前脚を振り下ろし始めたその刹那、グレイヴ以外のものが彼の意識から外れた瞬間を見逃さず聖針を携えたリオノールが猛然と走る。
元々割合近くで待機していたのもあったのだろう、リオノールとヴラドの距離は瞬く間にゼロになり、ヴラドが彼の存在に気付いたその時には既に聖針が竜の体を覆うオーラを貫いていた。
【ーーーーーーーー!!!】
断末魔が如き咆哮が響き、ヴラドの纏うオーラが霧散する。
それと同時にリオノールが持っていた聖針も役目は終えたとばかりに砕け散り、赤い光の粒子へと姿を変えた。
「フルアタックーーーー!!」
オーラの解除後のひと時の隙が彼等が与ダメージを稼げる最後のチャンスだ。
レインの号令と共に近接攻撃組がそれぞれの武器に色とりどりのライトエフェクトを纏わせ、ヴラドの身体に襲い掛かる。
それに合わせて魔法使い組も火力重視の黒魔法をパーティーメンバーを巻き込まないように気をつけながら使用し、パーティー一丸となってヴラドのHPを削りにかかるのだった。
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