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「終わっ……たぁ………」
そんな声とともに、リオノールがどさりと座り込む。
最後のギミック解除から十数分、ヴラドは前線組の猛攻に遂に沈み、その身体を光の粒子へと変えて消滅した。
それに伴って足下の血液も消え、床の表面が露出しており、多くのプレイヤーがリオノールのように床に座り込んだり倒れ込んだりしている。
「MVPおめでとうございます、グレイヴさん」
「ああ、サンキュ。助っ人引き受けてくれたお陰でかなり助かった」
「LAは残念でしたけど……」
「はは、まあ仕方ねえさ」
前線組の連中が終盤の戦線を譲らなかった為にLAボーナスこそ譲ったが、おそらく一人当たりの与ダメージ量でトップを取ったのだろう、MVPはグレイヴとなった。
貢献度で言えばリオノールもかなりのものだと思ったが、MVPを決めるのはシステムであって、今回はどうやら与ダメージ量にウェイトが置かれていたようだ。
「今回はダイスロールにもちゃんと参加できるだろうし、きっちり獲れるもんとってくるさ」
「そうですね」
今回の皆の活躍は誰にも文句をつけられるものではない。
流石にそれはわかっているのか、前線組のリーダー陣営も「MVP獲ったからダイスロール辞退しろ」と言ってくることもなく、報酬はきっちりと確保できそうだ。
……いやまあ、自分から言い出すのならともかく正当な報酬の辞退を強要する権利などどこの誰にもありはしないのだけれど。
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