姉妹喧嘩

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2051年 4月23日 「『第二の魔女出現か? 突如ボス戦に現れた謎の美少女魔術師の正体に迫る!』」 「音読はやめてください……」 携帯端末に表示されたネット記事の見出しを音読した美月に、横から画面を覗き込みながら弱々しく懇願する。 ヴラド、カーミラとの戦いから一夜明け、M速に出回り始めた関連記事を漁っていたところ、ぽつぽつとそんな記事も見受けられた。 内容は一様に前線組の組織外から突如として現れ、ボス戦において衝撃的なまでの活躍を果たし、なんの情報も残さず姿を消した美少女魔術師の正体を邪推するものだった。 「『白魔法で味方をサポートしていたと思ったら巨大化したボスのブレスを真正面から魔法でかき消すなど、常軌を逸した能力を見せた』だって」 「常軌を逸したは言い過ぎだろ……」 「いやまあ、白黒両方の魔法スキルの熟練度を前線で通用するレベルまで上げるのは普通やろうとは思わないくらいに大変だからね。 システム的な熟練度はともかく、魔法スキルは技術的な熟練度もウェイトが大きいし」 どうやらヴラドのブレスを単騎で打ち消してしまったのが想像以上にインパクトが強く、他のプレイヤーの記憶に焼き付けてしまっていたらしい。 正直今のステータスならばリリアさんも同じようなことは可能だと思うが、地上の方ではまだそこまで至ったプレイヤーは出ていないようだ。 「≪魔女≫の弟子、天上組のスパイ、ファンタジー世界からの転生者、運営のプライベートアカウント……色々言われてるね」 「ファンタジー世界からの転生者はいくらなんでもおかしいだろ」 魔女の弟子と天上組のスパイというのはまあわからなくはないしなんなら一部合っているが、転生者はいくらなんでも飛躍しすぎだ。 まあ十中八九お祭り的にネタにされているだけなので続報が無ければすぐに飽きられて忘れられるだろう。
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