第5話 デートへの誘い

1/1
前へ
/29ページ
次へ

第5話 デートへの誘い

俺は昨晩に航の愚痴をテープレコーダーの様に永遠と2時間聞かされたせいで睡眠不足に陥っていた。 俺は通勤ラッシュが少しずれた時間帯の電車に乗ったが、たまたま乗った車両の席が埋まっていたため車両の端にあるつり革を掴みながら壁にもたれて立ち寝をした。 俺はあくびが止まらず重い瞼を手でこすりながら図書室へ向かうと、すでに約束の時間よりも早く遥香は到着しており、端の席で読書をしていたのであくび交じりで挨拶をした。 「おはよう~宮下」 「おはよう、ずいぶん眠そうだけど大丈夫? 」 「昨日の夜に航からの電話のせいで遅くまで付き合わされる羽目になってマジで参ったよ」 そんな航への愚痴を軽く話しつつも早速、昨日の続きを始めた。この日は昨日、練習した漢字の読み書きを再度回答すると見事全問正解することが出来た。 「すごいね! 」 「俺もやればできるって事が証明出来てよかったよ」 その後昨日の続きで長文問題の答え方や対策を教わると、とりあえず追試では同じ問題が出題されるので大まかな答えを暗記しつつ対応策を教わった。 遥香はこの日もこんな俺が問題に手間取っていても怒らず最後まで面倒を見てくれた。 普段クラスでは目立たない存在だった彼女だが、俺は彼女のやさしさと人間性のすばらしさに感激していた。 何とか対策も終わり俺が何気に外へ視線を向けると、空が茜色に染まり出したので俺たちはテーブルに広げた勉強道具をカバンにしまって昨日と同じく駅前まで一緒に帰ることにした。 「宮下ありがとう」 「大丈夫だよ。明日の追試頑張ってね」 帰宅時間帯に重なり人の往来が激しくなった駅前に到着した俺は別れ際に笑顔で遥香に手を振ると彼女も笑顔で手を振ってくれた。 俺たちはそれぞれ自宅へ向かい俺は帰宅をしてから再度、明日の追試対策の為もう一度答えの確認をしていると プルルルル 机の上で充電をしていた携帯を手に取り着信画面を見ると航の名前が表示されていたので昨日のこともあり無視をすることにした。 翌日俺は学校へ行き遂に宿敵である現代文の先生の監視の元、追試を受けそして採点が終わり返された答案用紙を見たら65点を取り見事合格することが出来た。 今回の追試は答えを暗記すると言う姑息な手を使わせてもらったが、結果的には遥香のおかげで合格出来たわけだ。 すると現代文の先生が俺に対して 「星野君何とか合格したね。今日から部活頑張って」 俺はついに部活動解禁令が出たので水を得た魚の様に早速、部室まで走り練習へ参加した。そしてその夜、初めて遥香に電話をして追試に合格した事を報告した。 すると遥香は自分の事の様に喜んでくれた 「星野君良かったね。これで部活頑張れるね」 俺は遥香が喜んでくれた事が嬉しくてたまらなかった。 次の日から秋の予選大会へ向けての本格的な練習に参加した。そして夕方に部活の練習が終わると遥香が校庭の片隅で待っていてくれたのだ。俺たちはいつもの様に一緒に駅前の十字路まで帰る事にした。 部活のメンバーもいい奴ばかりで茶化すことなく気を使って一緒に帰れるように片付けなどを引き受けてくれた。そのおかげで遥香と過ごす時間が多くなり俺は遥香との距離を縮めることが出来た。 翌日部活の練習に参加すると顧問から都合により次の土曜日を休みにすることを言われた。 俺は追試勉強のお礼もかねて遥香を遊園地へ誘おう考えていた。 前に話していた時に遊園地が大好きだと言うことを聞いたのでその日の夜、遥香に電話をすることにした 緊張により震える手を抑えながら電話帳をスクロールして遥香の連絡先を見つけ電話する。 プルルルル 「もしもしどうしたの? 」 「実は今度の土曜日って予定空いていたりするかな? 良かったら一緒に遊園地に行かないか? 前に行きたいって話していたから追試のお礼もしたかったし」 「嬉しい是非お願いします。土曜日楽しみにしているね」 俺は、彼女からのOKを貰いベッドの上で歓声を上げた。こうして土曜日ついに遥香をデートに誘うことが出来た事を喜びこの日は興奮してなかなか寝付くことが出来なかった。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加