82人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
冬
12月…追い込み。
塾の先生もヒートアップする。
声も大きいし、妙にテンションも高い。
なんか引く……。
家に帰れば、母親もヒートアップで、僕より僕の予定に詳しい。
頭にいい食材だとか、有難いけど、なんか……引く。
周りが熱くなればなるほど、僕自身は冷める。
(落ちたら、どうなるのかなぁ…。面白いかなぁ。)
現実逃避なのかそんな事を時々、考える。
熱い先生に熱い言葉を掛けられるのがなんとなく嫌で、ゆっくり歩く。
塾までの道はやたらと早く感じる。
小さな橋の欄干の上に座る少女。
(あの子だ……。)
危ないんじゃ…と思いながらも、足は道路側に出ていたし、鞄は下に置いていたし、遠くを見る目はいつもと同じで、僕は声も掛けられずにその様子を見ていた。
塾の教室と同じ、横顔だった。
とても綺麗な横顔だった。
最初のコメントを投稿しよう!