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出会い
名前も知らない彼女は、いつも僕から見えるのは横顔だけだった。
同じ塾に通い始めて1年。
同じ進学コースで、週に一度、必ず顔を合わせた。
でも彼女は僕を知らないし、僕も彼女の名前を知らない。
進学コースは黙々と授業が進められて、油断すれば置いていかれる。
2つ先の列の1つ前の席。
僕の席からは彼女の横顔しか見えない。
興味なさそうに、空を切る目が、塾だから印象的だったのか、僕はいつの間にか彼女を目で追う日々になった。
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