第二話 月曜日のマザー

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 言葉は便利だ。でも、その分、扱いが難しい。  どうしてボクは、四か国語も話せるようになったんだろう。月曜日のお母さんである兎原(とはら)ルナさんは、ハーフで流暢な英語を話す。お母さん達の中で、一番セクシーでグラマーだ。お父さんは、白系ロシアの血が濃いんだよと僕に教えてくれた。  ルナお母さんは、英語だけでなく、ロシア語・中国語・韓国語・ペルシア語・ベトナム語・タイ語・タガログ語などもネイティブな発音らしい。考古学者シュリーマンは、独学で十八か国語をマスターしたという。ボクは、ルナさんのお陰で日常的な外国語会話には困らなかった。  中高大の一貫校だけあって、ボクが通う帝都学院中等部には、交換留学生や帰国子女も多い。自慢じゃないけど、五人のお母さん達のお陰で、学力は高い。ほんと感謝。……お父さんには、一ミクロンも感謝してないけど。  通っている外国人は、欧米だけではない。アジア諸国からの在籍者も多い。華僑、韓国人も多いけど、あまり知らない国からも、日本の文化を吸収しようと入学してくる。見た目はボク達と変わらないのだが、言葉はあまり通じない人達もいる。学年が上がれば、コミュニケーション能力も高くなるのだろう。高校生や大学生の先輩達は、シーンごとに使う言語を選んでいるようだ。まぁ、同じ日本人同士でも言葉は通じない、場合によっては家族でさえも。
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