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ルナさんからどこで暮らしても、地元の言葉を忘れないようにと、外国語以外にも方言も習っていた。まさか、こんなシーンで役に立つことがあるなんて。きっと、半谷君は転んで怪我したり、具合が悪くなったりした時に、大好きなお母さんに言ってもらってたんだろう。
さすけね、すぐどのっから。
大丈夫よ、すぐに痛みは治まるからね。と。
「呪文じゃないよ。福島の方言」
「碧って何気に、何か国語も話せるよね。英語や第二外語だって凄いし」
「家では主に日本語だよ。標準語の」
月曜日以外は、と付け足さないでおいた。面倒くさくなりそうだったから。
「碧って何気に、『主に』が口癖だよね」
「え? そう? あい梨も『何気に』口癖だよね」
「うん。何気にね」
二人は笑いあった。そうか、口癖か。あまり意識したことなかったな。
放課後、ボクは半谷君を呼び止めた。辺りには誰もいない。
「半谷君、助けたお礼に一つ質問に答えてよ」
「何?」
ボクは、真面目な顔で、綺麗なJCの姿で、彼に尋ねた。
「普通は、お父さんとお母さんって何人いるものなの?」
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