第四話 火曜日のマザー(アンテナ篇)

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 どうやってボクは、ストレスを発散したらいいんだろう。  反抗期? お父さんが嫌になる時がある。だってあまりにも、特殊な家庭環境すぎるから。でも、その環境に気づかず、五年も、十年も過ごしてきたことも事実だ。  ボクは中高大一貫校に進学したのだが、これもお父さんの策略かもしれない。一人暮らしの最初のタイミングは、高校卒業時だ。見事にそれを封じられた。でも、家出する度胸もないし、親のレールから降りる根性もない。  今日もアンテナさんに逢いにヘヴンへ向かう。あい梨は、またすっぽかされたとむくれている。 「仕方ない、今日も彼氏とデートするか」  ボクが断っても、つるむ相手いるじゃん。それに、ごめんね、プライベートな質問を聞かれたくないんだ。 「最近、カップル狩りをする危ない連中がいるって噂だから、気を付けてね」  そう言って、学校を出た。  裏口のセキュリティとはすっかり顔なじみだ。 「ごめんね、今日もアンテナいないよ」  実は、あの日から毎日のように通っているがまだ逢えていない。 「今日のラッキーカレーはエチオピアカレーだ、って出ていったよ。神保町あたりかな」  またか……って顔をしてると 「今日も中で待つかい?」  例の五番目のVIPルームで待つことにした。
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