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episode2
まだ、誰にも言えていない。
言えるわけない。
まだ高校生なのに。
財布の中には、1枚のエコー写真。
私が体を許したのは彼だけ。元、彼か。
つまり、そういうことだよね。
薬も飲んだし、着けさせたのになぁ…
「はぁーーーーーー」
大きなため息をつく。
父子家庭で、父親はなかなか帰ってこない。
医者に、なりたかった。
でも、エコー写真をもらった瞬間諦めた。
もう、私の人生はないんだと思った。
不思議なほど、堕ろすという考えには至らなかった。
お父さんはなんて言うだろう。
顔はいいから、お腹だけは殴らないで欲しい。
許して欲しい。
なんてわがままな娘なんだろう。
勝手に妊娠したっていうのに。
でも…未成年は、学生は無力だ。
彼が私をまだ好きでいてくれたら、どんなに心の支えになっただろう。
私は、独りなんだ。孤独なんだ。
妊娠がなくても孤独なのに…
頭が、回らなかった。
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