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スタッフが美味しく頂きました
「やったぞ!ついに完成したぞ!」
研究室内に、博士の喜びの声が響き渡った。
「博士、どうしました?」
博士の喜ぶ大声を聞きつけて博士に雇われている
家政婦が研究室内にやってくる。
「おお、君か。見てみろ、ついに完成したぞ!
私が10年もの間、開発を目指した
どんなものでも美味しく感じられる薬の試作品だ」
博士が緑色の小瓶に入った液体を指差しながら
叫んだ。
「……どんなものでも美味しく感じられる薬ですか?」
「ああ、そうだ。この液体を振りかければ
どんなにまずい食べ物や、飲み物でも美味しく感じられるという名前通りの効果を発揮する。
そんな夢のような薬の試作品がたった今完成したのだ。」
「それは素晴らしい!
それを世間に発表し、売り出せばたちまち大金持ちになれるというわけですね?」
家政婦が目をキラキラさせて博士を見つめる。
「そういう事だ。この事の重要さが分かったか?
これはまだ試作品の為、まだちゃんと効果が現れてくれるかは実験をしてみないと分からないがね」
「本当に素晴らしいものを開発なさったものだ。
是非、この薬を私に譲って頂けませんか?」
「なに?それは駄目に決まっているだろう。この薬は私が10年かけて作った汗と涙の結晶なのだぞ」
博士は首を横に振って言った。
「なるほど、答えはNOですか。
しかし私はどうしてもその薬が欲しい。
あなたを殺してでも手に入れたいほどにね。」
そう言うと、家政婦は近くにあった包丁を素早く掴むと博士の腹部に深く突き刺した。
「き、貴様……」
その言葉が博士の最後の言葉となり、研究室の
地面は彼の血で赤く染まる。
「開発者である博士が死んだ今、この薬は
私のものとなった。」
薬の入った緑の小瓶を博士の返り血がかかった手で掴む。
「博士はまだ実験をしていないと言っていたな。
どれ、実験をしてみようか……」
そう呟くと、家政婦は瓶の蓋に手をかけるのだった。
数週間後、研究室内には警察関係者が大勢やってきていた。
「本当に家政婦であるあなたは何かご存知ありませんか?現在行方不明である博士について」
「ええ、残念ながら。」
刑事の問いに家政婦は答えた。
「そうですか……、分かりました。
お時間を取らせてしまって申し訳ありません。
……お詫びと言っては何ですが、何か食べますか?
もう昼ですので、うちのものに何か注文させますよ?」
「……では、お言葉に甘えて。
やわらかい食べ物限定で注文して貰えますか?
やわらかければ何でもいいので。」
「やわらかい食べ物限定……。
それはまた一体どうしてなんです?
硬い食べ物がたべられないんですか?」
刑事が家政婦の言葉に疑問を持ち、問いかける。
「ええ、最近少々固い肉と骨を食べ、
歯を悪くしてしまいましてねぇ。」
家政婦はそう呟くとポケットの中に入っている瓶を撫でながらニヤリと笑うのだった。
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