その12 秋薔薇の咲き乱れる園

7/7
37人が本棚に入れています
本棚に追加
/196ページ
2人が奥まで歩きつくと バラが階段状の斜面になり その間を迷路のように 歩いて上がれるようになっている。 歩みの速い亮の白いシャツが 耀子の歩く一段上の通路を行き過ぎる。 糸のように細い銀色のトンボが 花の間にしばらく惑い つうっと飛んでいった。 そのキラメクトンボを燿子が目で追うと 亮の髪がフワリと視線を遮った。 陽が当たると、まるで若い獣の毛のように透ける。 (本当に不思議な色…) 亮は立ち止まり 耀子が追いつくのを持っている。 耀子が息を切らせて追いつくなり 待ち構えていた亮は 振り向きざまに いきなり耀子を捕らえて、キスをした。 そして身を離すと 自分のシャツのボタンを乱暴に外す。 朝の光に曝け出されたのは 白い素肌と なだらかな胸の膨らみだった。 薔薇の蕾によく似た乳首 そして 挑むように燿子を見ながら反らせた首に あの小さなアザが 昨夜より一層 鮮やかに浮き上がっている。
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!