第2章 姥皮(うばかわ)その1花世

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美人で、明るい性格だったお母さん。 お父さんだけでなく、花世(はなよ)にとっても自慢だったお母さん。 でも、泣いていても仕方ない。 花世は懸命に、お母さんのいなくなった家の中で 頑張っているのですが… 朝、高校に行くとき 「行ってきます」と声をかけたその背中のまま、 夕方「ただいまー」と帰って来るまで、 お父さんは同じ姿勢の時もある。 花世が整えたご飯だけは一緒ににボソボソ食べますが、 あとは夫婦の部屋だった洋間に籠り お母さんの骨壷を前に座り込みお酒を飲んでいる。 そうでなければ、ベッドにうずくまったりしています。 最近では独り言がだんだん多くなり、目つきもおかしくなってきました。
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