第1章 おぎんこぎん

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二人は一緒に学校に通い、一緒に帰ってきて、一緒に遊びました。 おぎんは、お父さんに似て体が大きくぽっちゃりして、 勉強は得意ではありませんでしたが、おっとりした愛らしい子供でした。 妹のこぎんは、お母さんに似て小柄で細く、算数と体育が得意、 賢く思いやりのある子供でした。 お母さんも、優しい、働き者の、いいお母さんと評判でしたが 実は心の奥底に、大きな秘密を抱えていました。 それは、自分と血のつながらないおぎんが、あまり好きではなかったのです。 そのうち、お母さんのおなかに赤ちゃんができました。 それはお父さんとお母さんの本当に二人の子供です。 その赤ちゃんができてからは一層、お母さんはおぎんが、好きではないどころか、憎らしくてたまらなくなってきました。自分と血のつながらないおぎんの、することなすこと目障りで、憎らしく思えてくるのです。 でもその気持ちを、お母さんは無理に押し殺し、 誰にも知られないように上手に隠しているのでした。
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