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ある日、学校から帰ったおぎんとこぎんは、
団地の花壇でコスモスを摘んだり
ダリアの花びらでアリの行列をトウセンボウしたり
オシロイバナの種を潰したりして遊んでいました。
妹のこぎんはトイレに行きたくなったので
ひとりで部屋に戻りました。
ドアは鍵がかかっていませんでした。
入ってゆくと、お母さんがトイレのドアを開けっぱなしにして、
背中をこちらに向けて、もくもくと掃除をしているところでした。
こぎんが入ってきた事にちっとも気づかないので、
脅かしてやろうと、こぎんは思いました。
それで、そうっと、うつむいている背中に回ってみると、
お母さんは洗剤の泡だらけになった便器のふちを
ゴム手袋をはめた手で丁寧にふき取っているところでした。
その手に持っていたのは、雑巾でも、使い捨てのトイレクリーナーでもなく、おぎんのお気に入りのハンカチタオルでした。
こないだの休みに、お父さんに買ってもらったばかりの
薄い黄色にサクランボの散った、おぎんのかわいいハンカチで
お母さんは便器を隅々まで拭き上げ、やっと起き上がりました。
こぎんはびっくりして、さっと、キッチンの壁の陰に隠れました。
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