37人が本棚に入れています
本棚に追加
/196ページ
第2章 姥皮(うばかわ)その1花世
日当たりも風通しも良い崖上の第10棟。
秋草団地では一番いいところに、
花世(はなよ)の部屋はありました。
花世はこの春、高校に進学した16歳。
お母さんに似て、評判のかわいい女の子。
お父さんとお母さん、花世。
3人家族は幸せに暮らしていました。
桜の散る頃、お母さんが急な病気で亡くなってしまうまでは。
お母さんが亡くなってから、もう半年も過ぎるのに
すっかり沈みこんだきりのお父さんは、とうとう会社も辞めてしまいました。
部屋にこもったきり、昼間から毎日お酒を飲んでいます。
最初のコメントを投稿しよう!