番外編【1】ティーカップとパンケーキ

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 私は17才の時に、アスラトルにあるエルシーア王立海軍の士官学校に入った。高官の子息などは14才で入学し、海軍の幹部候補生としてのコースを歩むから、私は彼等と比べるとかなり遅すぎるスタートだ。  しかし私は、自分の将来を悲観していなかった。  裏で官職を買うしきたりは恒例だが、基本的に海軍は実力主義な所である。  その例にもれず士官学校は、成績で何もかも評価を下した。  特に、成績優秀者へ支払われる報奨金の存在は大きくありがたかった。  私は亡き両親が残してくれた僅かばかりの貯えを、王都にいる姉と妹へそっくり置いてきたから……。  だが私の属する95期生でのトップの地位が、まさか脅かされる事になろうとは。  それが、彼女との出会いだった。
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