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「お送りします。マリエステル艦長。今夜はあなたと話せて、気が紛れました」
「そ、それはよかったわ。他愛無い話しかできなかったけれど」
リーザは何故かどぎまぎしながら席を立った。
シャインのこの豹変ぶりがよくわからない。
酔っているのかと思っていたのだが、シャインの視線はちゃんとリーザの方に向いているし、口調も普段の彼のものだ。
「お気遣い下さり、とても嬉しいですわ。グラヴェール艦長。あの馬鹿にきかせてやりたいくらい、嬉しい……」
シャインははにかんだようにリーザから目をそらした。
「いえ。お礼を言うべきは俺の方なのです。あなたやホープさんのおかげで、今夜は楽しく食事をすることができましたから」
「グラヴェール艦長?」
シャインははっと我に返り、口元を覆うように右手を添えた。
「やっぱり飲むんじゃなかった。だから酒は苦手なんです。つい、余計な事をしゃべってしまう……」
リーザはふっと笑い、うつむいたシャインの肩を軽く叩いた。
「寂しいなら、早く彼女でも作りなさい。あなたの居場所が定まるように」
「……リ、リーザさん!?」
リーザはシャインへにこやかに微笑みかけると、エミリアに向かって「お勘定をお願いするわ」と声をかけた。
【番外編3】スケジュール管理(完)
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