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「わかっている。だから、私がグラヴェール艦長の代わりを務めなければならないのだ」
ジャーヴィスは伏せていた顔を上げて、鋭く水兵達を見回した。
「今から名前を呼んだ者だけ、私と一緒に艦長室へ来てくれ。部屋が狭いから全員連れて行くわけにいかないんだ。後で詳細を話す。それ以外の者は当直についてくれ。いいな」
ジャーヴィスは見張りのエリック、航海長シルフィード、士官候補生クラウス、この3名を連れて、後部ハッチの階段を下りた。
この階段を下りた真正面には、静まり返った艦長室の扉がある。
ジャーヴィスはしきたり通り、二度扉を叩いた。
けれど艦長室からは、返ってくるはずのシャインの声がしない。
「艦長、どうしたんだろう」
「寝てるんじゃないっすか?」
ごつんとシルフィードが、見張りのエリックの頭をこずいた。
「馬鹿。エリック、艦長は眠りが浅いんだ。そりゃ、時々真昼間から部屋でうたた寝してることもあるけどよ。病気じゃないかぎり、昼まで甲板に姿を現さなかったことは今まで一度もなかったぜ」
シルフィードが伸びかけた顎の無精ひげをぽりぽり掻く。
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