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シルフィードがずかずかとシャインが横になっている長椅子の所へ近づいた。まじまじとその顔を覗き込み、小さく上下する胸を眺め、おもむろに右手をのばした。
「艦長、わりぃ。先に謝っておきますぜ」
シルフィードがやおら伸ばした右手でシャインの左頬を抓る。柔らかな頬の肉をつまみあげ、その痛みでシャインが目を覚ますのを、この大男は期待している。シルフィードの目論みを看破したジャーヴィスの唇に笑みがこぼれた。
「グラヴェール艦長!? マジかよ! おい!」
シャインはシルフィードに頬を抓られてもぴくりともしない。
相変わらず小さな寝息を立てて深い眠りに陥っている。
「マジで起きねえのか!? 嘘だろ?」
シルフィードがシャインの肩を掴んで揺する。
「艦長! もう昼ですぜ! いい加減起きて下さいよ!」
がっくんがっくん。
脳味噌まで揺さぶっているのではないだろうか。そうジャーヴィスが危惧するほど激しくシルフィードはシャインの肩を揺さぶっているが、やはりシャインは目を覚ますどころか、昏々と眠り続けている。
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