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「副長……一体、艦長どうしちまったんですか?」
息を切らせ、ようやく事態を納得したシルフィードが立ち上がり、戸惑った目つきでジャーヴィスを見た。
「それは私も知りたい所だ。でも艦長が目を覚まさないんだ。何か悪い病気じゃなければいいが」
「――まさか」
気まずそうな声を発したのはクラウスだった。
士官候補生が喘ぐように漏らしたそれをジャーヴィスは聞き逃さなかった。
「クラウス。お前、何を知っている?」
「えっ、あ、その……僕は」
クラウスはジャーヴィスの鋭い視線から逃げるように、シャインが横になっている長椅子の所へ近づくとその場に膝をついた。
「クラウス?」
クラウスはやおら顔をシャインの唇に近付けた。
「――ああ、やっぱり!」
半ば怒ったような口調でクラウスが立ち上がった。
近づいたジャーヴィスと目が合うと、候補生は悲しげにかぶりを振った。
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