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お客様は一夜の恋人
デリヘルちゃんがいるなら、デリヘル君も居てもおかしくはない。
デリヘルおとこ。
略して→デリ男。
ゲイ関連のタイプの男性客を相手するこのお店に就職して半年過ぎて、ようやくそれなりに出来てきてはいるものの……。
お客「いやぁ~、可愛いねぇ~。お肌スベスベで。もしかしてエステ行ってきたのかな?」
空 「はい。今日は、お客様と会うの解ってたから…ち、ちょっと頑張ってみました…フフッ…。」
大概のお客さんは、抜いてもらうだけでは、満足しない。
身体を見たり触ってきたり…。
だから、どこを見られても良いように脱毛とか傷とかかなりのお金がかかる。
一回の基本料金は、60分で二万円。
指名されれば、追加で一万円。
色々なオプションなんか付けると、かなりの金額になるけど、僕は、まだそこまでたどり着けてない。
オプション料金で必ずと付けてもらえるのは、コスプレと飲食くらい。
年齢層も結構広い。
デリヘルは、本番は、一切禁止。
そこが唯一、助かった点だと思った。
お客「ハル君。今日も沢山気持ち良くしてね。」
空 「はい。頑張ります!」
実は、僕がここで呼ばれている名前は、「ハル」です。
何故、「ハル」なのかというのは……。
好きだった先輩の漢字に「春」が付くのと、もう一つは……。
「大翔君」の「ハル」………。
いまだに未練タラタラな僕。
初めて告白して予想は、ついてたけど……。
やっぱりショックだった。
大翔君が………。
もう、忘れなきゃ。
大翔君の事も先輩の事も…。
僕から大翔君に触れるのは、絶対ダメだったから。
大翔君が先輩みたいになってほしくなかったから。
お客「…あ~…気持ちぃ…うん…上手だね~…ハル君……。」
居るべき場所が大翔君と僕は、違う。
だから……。
ごめんね。
名前だけでも………。
一緒の場所に居たいんだ……。
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