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部員募集中。
大きく黒く書かれた字は、春人先輩の毛筆によるものだ。
力強すぎて、その執念までもにじみ出てきそうな字。
「これで、準備完了だな!」
金曜日の放課後、私たちはいつものように美術室に集まっていた。
展示は来週の月曜日からなので、私たちは今日中に準備を終わらせなくてはならない。
無事、全ての絵は額縁におさまり、春人先輩が『部員募集中』の看板を描き終えた。
あとは月曜日の朝、美術室前の廊下に絵を飾るだけだ。
「おつかれさまです! 春人先輩」
「いやいや。真彩ちゃんも蘭も、おつかれさま!」
「展示、楽しみですね。うふふ」
自販機で買ってきたジュースを並べて、にこにこと笑い合う。
「描き終わって、よかったあ……」
ふうと大きく息を吐くと、春人先輩がはは、と笑った。
「短期間でたくさんの絵を描くのは、いい訓練になるよね」
「でも、真彩は余裕だったわよ。私が一番ギリギリ」
ほっとしたように、蘭もジュースを飲んでため息をつく。
「そんなことないよ。蘭は風景だもん、私より時間かかるはずなのに、完成させて、本当にすごいよ」
蘭も春人先輩も、私のようにブランクがない分、描くものが正確でずっと速い。
私ももっと上手く、速く、でも正確に描けるようになりたい。
そう思わせてくれる二人に出会えて、良かったなと心から思う。
「真彩は褒め上手さんね。ありがと」
「ほんとのことだよう」
机に並べられた絵をみて、はやくも達成感が湧き出てくる。
これで新しい部員が入ってきてくれたらいいな。
そして、無事活動が続けられたらいいな。
ちょうどジュースを飲み終えたところで、美術室の扉が開いた。
「すみません、テープって余ってたりしますか?」
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