ふたり

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「もしかして、」 「……?」 「サキ、やきもち?」 「やき……もち?」 「え、やべっ……嬉しい」 「……え?え?」 やきもち? サクが他の人に好かれていて、妬いた……? ……わーっ!うん、はい、そうみたいです。 思い切り目が泳いだ。 あの人の気持ちが切ない、なんていい人ぶっていたけれど、単なる自分のヤキモチだった! 顔が赤くなると同時に、サクにぎゅっと抱きしめられていて。 大きな手が後頭部をゆっくり撫で下ろした。 「俺、あの人にちゃんと言っただろ?“俺がサキを見つけたんだ”って」 「っ、」 「近くに居た人じゃなくて、俺は、遠くに居たサキを見つけた。俺が、サキの事を好きなの。だからサキ以外に好かれても意味がない」 「……私も好きだよ」 抱きしめる力が強くなって、引き寄せられて、足の間にすっぽり入ってしまった。 ぎゅっとされて、頬に当たるサクの胸からどくどくと強い音が響く。 私の心臓もバクバクと煩いから、もうどちらの音かはわからないし、サクの気持ちに、自分のつまらない嫉妬なんてどこかへ飛んで行って。 ただただ、どくどくと鳴る音を聞くだけだ。 「俺だって、サキの過去とか、サキがたまに会話する男とか、嫉妬し出したら切りがないから」 「っ、サク」 「サキ。……俺のものに……していい?」 覗き込む熱を帯びた瞳に、瞬きで頷いて。 顎を救い上げるサクの手も熱い。 徐々に深くなるキスに息継ぎすらままならなくて。 サクが私の名前を何度も呼んで、どんどん熱に浮かされて。 頭が、ぼーっとする。 「サキ」 ふわふわまどろんだ向こうから呼ばれて、漸く目を開けた。 腕枕をしたサクが微笑んで覗き込んでいて。 おでこにちゅっとキスをする。 「明日から……やばいな」 サクは大きな手で口元を一度覆って、覗き込んだ私の目元をするりと撫でた。 「実は俺もバイト先で顔が緩んでるって言われたから」 「……サクも?」 「ん。なんか、ますますやばそう。最近生き生きしてるって店長にも言われてるし……余計言われそうな気がする」 「私もきっと奏ちゃんに言われちゃうなぁ」 「……そのまえに、」 「うん?」 「明日、土曜だし、出かけない?」 「デート?」 「ははっ、デート。ショッピングでも映画でも、どこへでも」 「うん!じゃあ、どこに行こうか考えておく」 「待ち合わせは、どうする?」 「それなら、あそこ」 二人が出会った桜の木の下。
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