舞われ始めた風車の如く

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 箱入り娘。  私に言ってはいけない単語。それは実に多い。と、そんなことは今はおいておいて。とりあえず、と私は男の人を見上げた。 「ぶん殴っていいですか」 「おーこわっ。矢丞さんか弱いんだから暴力はいけないよー」  口調からして嘘ばかり!へらへらと笑うその人をじと目で見ていると、足元がくすぐったくなった。 「あら。霧を抜けてもあやかしはあんたを離さない、みたいっすねー」  河童に鎌鼬、土蜘蛛にまた化け狸。ありとあらゆるあやかしが群がって私を囲った。そして何故か男の人と敵対するように陣取っている。  首を傾げてその様子を見守っていると、河童が指を立てた。瞬間、各々一斉に男の人に飛びかかろうとした。 「あっやめて!この人を傷つけないで!」  まるで私があやかしを従えてるみたいじゃない!真っ平御免よ!  一通りあやかしを追い払ったところで、彼は困った風にため息をついた。そりゃ、ため息も出るよね。私はあまり人と関わらない方がいいのかな。  項垂れる私は罰が悪そうに彼を伺った。けど、何故かニヤッと返されてしまう。なんで? 「常につかれてんな。こりゃヘタに手出しできないわ」  この人は本当に!!
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