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展開についていけないけど、桃姫の反応は少しひっかかる。
「どうして桃姫は驚いてるんですか?」
率直な疑問、だったのに、桃姫は落胆するような目で私を捉えた。
「お前も馬鹿か…」
と言われても。矢丞さんが言うことに私はなんの疑問ももたない。だって。
「だって見合い結婚は普通なのでしょう?あ、もしかして桃姫は嫉妬してるんですか?」
刹那、憤怒のごとく鬼の形相で私を睨み殺そうとする桃姫に、私は慌ててその理由を聞き出す。
「あぁああ私何か失礼なこと、言いましたか…?」
「嫉妬ではない!こやつの事など!好きではない!!」
「そうですか…。文献には桃姫の今のような反応は嫉妬からくるもの、と書かれていたのですが。まだまだ勉強不足ですね。難しいです」
「お主…やはり無知にも程があるぞ。どこの出だ」
「辺鄙なところですからね。文化も遅れているんです。そう、生きるための術ばかりで、人間関係のことなんて疎かにして。時折流物を買い詰めて読み漁るんですけど、実践してみないと分からないものです」
絶対、桃姫は嫉妬していると思った。というかこの二人は恋仲ではないのに、あんな仲睦まじいなんて。戯れなんて、私には無縁だからなぁなんて思っていると、桃姫が至極真面目な声音で矢丞さんに耳打ちした。
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