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「それは……俺がそれには応えられなくても?」
見上げた先にあったのは、遠野くんの真剣な表情だった。
「そりゃあ、それとこれとは別だから」
そう言って梢が笑うと、遠野くんも笑ってくれた──口角をくいっと上げるだけの、クールな笑い方だったけれど。
「うち、ここ曲がったとこだから」
二、三歩先の交差点に駆け寄り、くるりと振り返る。
この道を通い続けて一年半になるけれど、こんなに幸せな下校は初めてだった。
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