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青山くんとの帰り道で心持ち弾むようになった気持ちを抑え、帰宅すると、その気持ちが両親の顔にかき消された。
「……ただいま」
「お帰り、どうだった?」
「うん、順調だよ」
それだけ言うと、また部屋に籠った。いがみ合うような、それを越えて、まるでお互いに無関心のような両親の顔。
はぁ。ため息が出る。さっさと別れたらいいのに。まるで、私が悪いみたいじゃない。
シャッとカーテンを開けて、月明かりを取り込んだ。……綺麗だな。月を背に笑う青山くんを思い出し、もう一度心が晴れるのを待った。
今日の復習しちゃお。耳にイヤホンを入れて、問題集を開いた。時々、月に目を移しながら。
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