白い虹

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「お帰り。どうだった?」 家に帰ると何時ものように母親が聞いた。返事の代わりにリビングのカーテンを開けた。 「ちょっと、夜にカーテン開けたら、外から丸見えでしょ!?」 「月が、綺麗だよ。……私が産まれた日も、こんなに綺麗だった?」 私がそう聞くと、両親が顔を見合わせた。 「……綺麗だったな。だけど、あまりにも母さんがつらそうで……こんな思いをさせるなら、子供は一人で十分だって思ったな」 父が柔らかく笑って、そう言った。 「……もう一人いても良かったわね、今ならそう思う」 少し寂しそうに、母がそう言った。 「孫を待ったら?」 私がそう言うと、両親がもう一度顔を見合わせた。……その様子を見て、私も部屋に入った。 机の前のカーテンを開ける。 「綺麗な……月」 それから……綺麗な名前。初めて、そう思えた。 私の名前は、呼ばれるだけで、特別な意味を持つ。……綺麗だ。
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