白い虹

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白川(しらかわ)美月(みつき)。 ……憧れだった高校生活は、大した事もなく、1年が過ぎた。この春、高校2年生になったばかりだ。 名前に“白”も“月”も入ってるもので、少しばかり、たまたま立ち聞いた“月虹”に同情していた。 ──塾までの電車の中、仕事帰りだろう女性達が話していた“月”の“白い”虹の話。二駅先のその駅に着くと、感情移入していた事に気付き、慌てて電車を降りた。 趣味、勉強。目指すところは……“いい大学”。当面、それしかない。 そのあとどうする?なんて未来設定は大学入ってから決めたらいい。“いい大学”に入れば、そこに未来が広がるのだから。 私の高校生活は、ただ、大学へ入るためだけの通過点として存在していた。誰もがそうだと言えるほどの、“進学校”。そこに通っていた。
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