月明りの下で吸血鬼と共に

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「そいつを離せ!」  言い終えるのが先か、動き出すのかさえ分からないスピードでオールバックに向かってゆく相棒。 「嫌だね」  拒否をした事で相棒は、唯織を抱き締めるオールバックの両手を乱暴に離した。唯織から少し離れた瞬間の無防備さに蹴りを入れる。 「ぐはっ」  相棒の蹴りが効いたのか、オールバックは靴を屋根に滑らせながら後ろに下がった。  今度はオールバックが相棒に向かって蹴りを入れようとするが、上手く避ける相棒。  蹴りを入れた足を戻して、次はボクシングのように素手で殴り掛かったオールバック。  臨機応変に相棒も素手で対応をする。相棒の方が上手だった。 「お前、くたばるなら早めにしろよ」  そのままオールバックの身体をボコボコに殴りまくる。 「くっそ!」  オールバックの拳も何回か相棒の身体に当てた。けれど回数の差でオールバックがどんどん力が弱まってゆく。 「はぁ、はぁ」  お互いに吸血鬼とは思えない程に服がはだけ、髪もくしゃくしゃだった。  トドメを刺しに向かう相棒は、オールバックに全速力で向かう。一直線に向かうけれど相棒が消えてしまった。  そして相棒は隙を狙い、オールバックを後ろから蹴った。 「おりゃー!」  いや、実際には地面に向かって蹴り落とした。  その後のオールバックは地面に穴が空いたまま意識を失っていた。
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