月明りの下で吸血鬼と共に

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 何とかオールバックを倒した相棒はぐったりとしていた。これで家族は相棒の言う通り直に治るのだろう。  今の内だと月の光を使い、相棒の前で首元をさらけ出す。吸血鬼の本能を誘い出そうとした。  唯織は右髪を耳にかけて、もみあげを見えるようにしてみる。相棒が目を逸らしている隙に距離を縮めて血を吸わせたかったのだ。  どうする、吸血鬼。 「吸血鬼、こちらを見てみなよ」 「あ?」  こちらを見た相棒の尖った歯が光っていた。  唯織のさらけ出された首元に相棒は唾を飲み込んだ。  喉を鳴らす姿を見て、これはいけると思った。次こそ、これで楽になれる。  そう唯織は確信をした。  さぁ、吸血鬼。僕の血を一滴残らず吸い上げてくれ。  今日、二度目の行為にも関わらず相棒が唯織の首元に歯を当てた。  毒を盛らずに殺してくれるであろう相棒に安らぎを感じたのだろうか、自然と身体の力が抜けてしまう。  でも幾ら抜けていても、次のステージに到達しない。何故なら相棒が血を吸ってないからだ。 「お前の血を貰うのはやめた」  相棒はふぅ、と息を吐いて遠目をする。屋根の上に腰を掛けた。 「何でだ」  問わずに入られなかった。即座に相棒へ聞く。展開の急な変更に臨機応変の立ち振る舞いは出来ない。頭部から冷や汗が流れた。 「お前が寿命を経つか、また死にたくなったら、その時は血を食らう。だから自分の居場所へ帰れ」  相棒の妥当な意見に歯を食いしばった。迷いの無い眼で真っ直ぐに見つめてくる。
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