月明りの下で吸血鬼と共に

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【少女視点】  一見怪物のような者に対して、驚きを隠せられているのだろうか。  耳元に角が生えている怪物を眼にした。  怪物が二、三歩を引いたみたく唯織も目を覚まして気付いた時は唖然とした。  けれども、この状態を把握すると何故だかやっとこれで解放されるような気持ちに陥った。  段々と雲に隠れていた月が顔を出して光を帯びていた。徐々に怪物の正体が月明かりで見えてくる。  唯織(いおり)から見た怪物の姿は、まるで人間ようだが人外だと分かった。人間にはない尖った耳や歯。目が真っ赤に充血している。  薄く明るい茶髪で、前髪の右側だけ耳元でかきあげていた。黒色のマントに白色のシャツと赤色のネクタイ。ズボンは黒色だった。  極めつけは、唯織の首元を狙おうとしていた。  怪物の外見から推測すると、まるで吸血鬼のようだった。  いや、吸血鬼の可能性が大きい。  だから、吸血鬼に対してカマをかけてみた。 「貴方が望むなら僕は死んでも構わない。何時か僕を殺してくれる人を待っていたから」と。 「そうか」  吸血鬼は日本語を喋り出す人種なのか、唯織にも分かる言葉を発する。言葉から考えてみると唯織の言葉を理解したらしい。  こちらが驚いては負けただと思い、平然と話し出す。 「貴方は僕を食えば、御役御免だ。僕は死ぬことさえ出来ればいい。それならお互いに済む話だ」  如何にお互いがフェアなのかを吸血鬼に伝えた。  生意気な喋り方は慣れなのだから仕方ないが、ちゃんと吸血鬼に伝わったのだろうか。  でも吸血鬼が了承したら、僕はこの世から解放されるんだな。  それは唯織にとって、とても喜ばしい事だった。線のように真っ直ぐな長い白髪が月の色と同化し、輝いていた。
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