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ピョンピョンと軽々しく家々を飛び越え、どこかへ攫われた唯織。片腕で円を描いて、その中に唯織の身体が包まれている。
「さっきのはどういう事だ」
外の風を感じながら、さっき吸血鬼の呟きについて質問をしてみた。
あの妹の変貌ぶりと吸血鬼が放った『吸血鬼の毒を塗り込まれたか』という言葉がどうしても気になる。
「いや別に」
「僕の家族なんだぞ、教えて貰おうか」
案の定、吸血鬼は答える気が無さそうだから自分の家族だと言い返した。
その言葉が効いたのか、近くの屋根に止まり唯織を下ろす。吸血鬼は苦い顔をしながら語り出した。
「元々俺の種族は人間の言葉で云えば吸血鬼だ。だけれど人間が思うような吸血鬼とは少し違う。ただ吸って終わりとはならずに、毒を人間に盛らせる事が出来る」
「毒を、か?」
「嗚呼、その毒は人間の身体を支配し凶暴化する。俺らは半分生きている人間を吸いながら、そいつが死ぬまで繰り返したんだ」
待てよ。そしたら、と一旦話が終わるのを見据えて目を見開いた。
「僕にも、そうするつもりだったのか」
「いや君だと、望み通りになるから全然面白くない」
吸血鬼は肘を曲げて両手を左右に開く。やれやれ、と飽きられているみたいだ。
まあ、簡単に言うと毒があれば何度でもそいつを食える。つまり妹は誰かに毒を盛られ食料にされているみたいだ。
吸血鬼の話を続けていたら、新たな手がかりが分かった。
それは『助ける方法』だった。何で吸血鬼がその手段を知っているのかは不明だが、実際に方法はあった。
毒を体内に盛られた人間を助ける方法は二つ。吸血鬼らの人種が毒を抜くか、毒を盛った張本人を倒すかだった。
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