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安直過ぎる方法に頭を悩ませる。どっちにしろ吸血鬼が居ないと話にならない訳だが、丁度良く吸血鬼がここに一人。
この目の前にいる吸血鬼にお願いすれば、五十パーセントの確率で妹を助けてくれるだろう。そうすると唯織のお願いは二つになる。
二つが聞き入れられずに、どちらかを選べと言われたら、どちらを僕は選ぶのだろうか。
吸血鬼と唯織の二人の時間は呆気なく終わりを迎えた。
「やっと見付けた! 俺の獲物」
真下からある物体が飛び上がってきた。
「何だ、お前は」
唯織が喋ると不敵な笑みを零す。吸血鬼と同じ格好をしていた。隣にいる吸血鬼と違う部分はやや低くくオールバックにした所だろう。パッと見ていてこの吸血鬼は自信に満ち溢れてそうだ。
「あ? 俺はそこに居る奴と同じだ。それでもってお前の家族もろ共、皆。俺の食糧だ。分かったか? 最後の獲物よ」
目の前に現れ、微動だにしないまま身体を宙に浮いている第二の吸血鬼。別名は『オールバック』にしよう。
宙に浮くオールバックは、その状態を維持して荒々しく投げかけてくる。
このオールバックが、妹だけではなく家族全員に毒を盛った張本人だと知った。しかも、最後の獲物だとこちらに見て言っている。
流石に隣の吸血鬼は唯織の家族じゃないから、やっぱり唯織自身が狙いだと分かった。
「何を勝手に決めてるんだ。僕は誰のモノでもない」
オールバックに対して牙を向いた。身体を差し出したら毒を盛られ、のうのうと生きるのは御免だ。
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