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真夜中は大抵の人間が寝ている時間。そんな静けさの中で二人の吸血鬼が立っていた。
先に行動を移したのは相棒だった。屋根に着いた足が見る見るうちに宙へと浮かんでゆく。
人間が立てない場所である宙に浮き、風が騒ぎ出した。相棒の様子からして、戦闘体制になった状態だと思った。
唯織にそんな余裕が持てるのは、相棒を信じているからではなく諦めに近い感情が湧いたからだ。
毒を盛る気満々のオールバックが真後ろに居れば勝ち目など無い。相棒と勝手に別名を付けたが、所詮はオールバックと同種。
オールバックは、唯織の身体を包み込むように抱き締める。
相棒への当てつけとして火に油を注ぐ行為をしたオールバック。相棒の反応を見て喜ぶ変人ぶりだ。
唯織は相棒で吸血鬼の耐性が付き始めたのか、オールバックが抱き締めてこようとも一々反応したりはしない。
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