プロローグ

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プロローグ

 むかしむかし あるところに、 ウサギと サルと キツネが いました。 「いいことを したら、 にんげんに なれる」  3びきは そうきいて、 みんなで いいことを して にんげんに なろうと きめました。  しばらく あるいていくと、ひとりの おじいさんが たおれて いました。 「はらが へって うごけない だれか たべものを めぐんでくれ」  たいへん!このままだと おじいさんは うえじにして しまいます。3びきは いそいで たべものを さがしに いきました。  まず さいしょに たべものを とることが できたのは サルでした。 「ウッキッキー!この かきの みを もって いったら おじいさんを たすけられるぞ!」  サルは きの うえで そう さけぶと、よろこんで おじいさんの もとへ はしって いきました。  つぎに たべものを みつけたのは キツネでした。 「コンコン!この さかなを つかまえて もって いったら おじいさんの おなかは いっぱいに なるんじゃないかな?」  キツネは そう いうと よろこんで おじいさんの もとへと むかって いきました。  さて、こまったのは ウサギです。  ウサギには にんげんの たべものを とる ことが できません。 「ウキキー!どうして おまえだけ たべものを もって こないんだよ!」 「コンコン!みんなで にんげんに なろうと してるのに おまえだけ なにも もって こないなんて ずるいぞ!」  カンカンに なって おこる 2ひきに ウサギは なにも いいかえせません。 「ごめんね……。 また さがしてくるよ。 きょうの よるまで まってて」  シュンとした うさぎは そういうと とぼとぼと くさむらへと むかって いきました。  ゆうひが くるくると しずむころ、 うさぎは とほうに くれて いました。うさぎは どれだけ はしっても どれだけ とびはねても たべものは みつけられませんでした。 「うん。きめた!」  うさぎは じぶんに いいきかせるような かおで そう つぶやき、おじいさんの もとへ かけだして いくのでした……。
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