セルライト伝説

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 セーラーポークの主人公ーー憑野(つきの)うなぎは、今をときめく十六歳の女子高生だ。    朝は吉野家とすき家と松屋をはしごしたり、  昼休みは学校に、ピザーラとドミノ・ピザとピザハットに出前注文したり、  放課後は、マクドナルドとロッテリアとモスバーガーをはしごしたり、  夜は、スシローとはま寿司とくら寿司とかっぱ寿司をはしごしたりと、  驚異的な食欲と、  驚異的な財力(親が世界的食品メーカーの社長)と、  驚異的なBMIを誇る(作中では非公表)ことを除けば、チェーン店を(大人の事情で)こよなく愛する、いたって普通の庶民派女子高生なのだ。 「今日もなかなか始まらないな」  そう、このアニメの欠点として、異常にCMが長いことが挙げられる。  様々な企業(もちろん、食べ物を扱う企業ばかりだ)が実名で登場するからなのだろう、三十分の放送枠のうち、二十五分がCMなんてこともざらだ。  そして、残りの五分のうち、オープニングテーマとエンディングテーマで一分ずつ費やすので、アニメの正味時間は三分ほどである。  まるで、海老の天ぷらだ。  大きいのは衣ばかりで、いざ食べてみたら衣の奥の奥に、甘海老が一尾隠れていた、みたいな感じ。  でも、  かっぱえびせんのごとく、  やめられないし、とまらないのである。  デブの、  デブによる、  デブのためのアニメーー。  それこそが、『食欲戦士セーラーポーク』。  
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