だから俺は、生きることにした。

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『不登校になる前、種田君が先生に言ってくれたみたいなんだけど。……野中先生、全然どうすればいいのか、解決策出してくれなかったって……』  不登校になる直前に、ある男子が担任の野中に相談を持ちかけていたのだった。先生が、まるでいじめなど存在しないように振舞うことに堪忍袋の尾が切れたのだろう。真面目で責任感の強い彼ならば、他のみんな以上に気に病んでいてもおかしくはない。  だが教員は。まるで自分たちに、手を貸してくれる様子はなくて。 『他の先生達は、そういう相談は野中先生にして、みたいな雰囲気で助けてくれる気配ないし。そもそもチクった、ってバレても問題ないようにするには、話したその後から学校をお休みするくらいしかできないし。……正直、もうどうすればいいのかわからない。三年生までは学校楽しかったのに、今はみんなピリピリして、ドッチボールしてても楽しそうじゃなくて……辛い。どうすればいい?小倉君、いつもみんなの困ったこと相談してきたんでしょ?今回のことも、なんとか解決できない……?』  学校に来るのさえ辛くなっているのはもう、俺だけではなかったはずである。それでも会いたい友達がいて、いじめの状況を親に話しづらくて、結局来るしかないと思って重い足を引きずり続けているのだ。  大人が頼れないならもう、子供だけでなんとかするしかない。  イチかバチか、俺はみんなの頼れる相談役に、話を持ちかけることにした。そういう経緯だったのである。 『他の先生達は、そういう相談は野中先生にして、みたいな雰囲気で助けてくれる気配ないし。そもそもチクった、ってバレても問題ないようにするには、話したその後から学校をお休みするくらいしかできないし。……正直、もうどうすればいいのかわからない。三年生までは学校楽しかったのに、今はみんなピリピリして、ドッチボールしてても楽しそうじゃなくて……辛い。どうすればいい?小倉君、いつもみんなの困ったこと相談してきたんでしょ?今回のことも、なんとか解決できない……?』  俺の必死の言葉に、彼は。 『僕もずっと、このままの状況は良くないとは思っていた。僕自身がいじめられるかどうか、なんて問題じゃない。そもそも狼にされたこともない子達まで大きなストレスを抱えてるのは間違いない事実だ。実際、大半の子達の成績は下がってるらしいしね。先生に平均点が低いって叱られたでしょ』  そのための解決策を全く講じないのは先生なのにね、と肩をすくめる港。
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