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その日はとても豪華な食事が食卓を彩った。
私はどうぞどうぞと勧められスープを一口飲んだ。
「おいしい……」
「だろっ!」
彼は満面の笑みだった。
「あの………それで名前は………」
「あっ!そうだった。」
「ねぇ、どうするの?」
あまり口を開いてなかった方の彼が言う。
「うーん……やっぱりあっちの方な!」
「……了解。」
何が了解なのだろう。私には理解できなかった。
「じゃあ自己紹介しよっか。俺は”リン”。で、こっちが」
「”イー”。よろしく。」
「で!お前は”アール”!!!」
「えっ………なんで??」
勝手に名前を決められた。よくわからない。
「俺達は盗賊団。物を盗むことで生活してる。で、これはコードネーム。俺達とお前は本名を知らない。これならいつ裏切っても身バレすることはない。」
「そういうこと。」
「そんな冷たい関係なんだ……」
でも私も二人のことは知らない。今日会ったばかりなのだから。
「お前も何しても本当の名前は知られてないし、だから俺らに縛られることもない。いつこんな盗みの世界抜けだしても大丈夫ってわけ。」
「……わかった。じゃあこれから私はアールってことか。」
「うん。よろしくな!」
「よろしく。」
私はこうして新しく盗賊団の一員となった。
未だに不安もある。
しかし私はこうしないと生きていけないのだ。
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